『0.25Dから0.01D度数を動かしたときと10.00Dから0.01D度数を動かしたとき、実際の装用を考えるとどうなのか』という話になりました。
今の私の知識では、0.01D動かしたときにどうなのか、正直わかりません。
私の周りでも、意見は分かれています。
ある人は「特に乱視の矯正のときに真価を発揮する」
またある人は「あまり細かく刻んでも意味は無い」
どちらの人も相当な実力者なので、私は時間をかけて自分の感覚で判断していきたいと思っています。
普段私たちは0.25D刻みで業務を行っていますよね。
0.01D動かすというのは、遠近両用レンズの最適化設計などに使用される加工技術であるフリーフォームや、中間度数指定レンズ加工技術を応用したりすれば、技術的には可能なはずですし、実際実用化しているメーカーがあると聞きます。
…と、これだと、せっかく良い話題を振ってもらったのに話は違う方向にいき、実際の応えとしては「わかりません」では全く前進が無いので、度数と視力の話をしたいと思います。
結論からいくと、『度数から視力を正確に導き出すことはできないですし、視力から度数を正確に導き出すこともできない』ということですね。なんだか今回はできないとかわからないとかばっかり言ってますけれども。
「視力 度数」とかでGoogle検索をしてみると、コンタクトレンズメーカーさんのホームページがヒットして、《視力から度数を算出する》「裸眼視力=0.4/コンタクトレンズの度数」というようなものが出てきて、これはこれで「こんなのがあるんだ~」ってはなりますが、これはメーカーさんご自身が「これらの計算式で得られる数値は信憑性が低く、おおよその値に過ぎません」とおっしゃっています。
例えば、視力が0.1の人が何人かいたとして、ある人の度数は「+3.00D」で、ある人の度数は「-3.00D」(あくまで例えばです)ということはあり得ると思います。そうすると、同じ視力だったとしても度数は違っているということは珍しくないワケです。
コチラとしては「0.25D動かしたら視力がどれだけ変わるのか」が気になっているワケですが、ここで考えなくてはいけないのが視標です。
1.0以下の指標の配列は大体0.1刻みに並んでいるため、0.1から0.2への視精度は2倍になりますが、0.2から0.3までは1.5倍です。同じように0.9から1.0の視精度は1.11倍にしかなりません。
視標の1.0の次が1.1ではなく1.2なのも、こういったことが関係しています。
基本的には眼の方は0.25D強めるごとに等間隔に見やすくなってはいきますが、視標の方が等間隔になっていないですし、被験眼によっても様々ですので、「0.25D動かしたら視力がどれだけ変わるのか」は一口には言えないと思います。