新人Sさんが測定に入りました。
Sさんが担当していたお客様はハードコンタクトレンズを使用されており、私は心の中で「スペクタクルブラーに気をつけて! あ…教えてなかった」と思いましたが、私も手が離せなかったのでどうすることもできませんでした。
スペクタクルブラーとは、コンタクトレンズ、特にハードのコンタクトレンズを外した直後に角膜面の変動のために眼鏡をかけてもハッキリ見えず、しばらくしてやっと見えだしてくる、ということが起こったり、その日その日で角膜の状態が違うために、同じ眼鏡でもよく見えたり見えなかったりすることをいいます。
原因はコンタクトレンズによる角膜への圧迫や酸素の供給の不足で、角膜に浮腫が起こったり、曲率半径や厚みの変化が起こるために屈折状態が一時的に変化することが挙げられます。
多くの場合は、角膜が扁平化して、コンタクトレンズを外した直後は、実際の近視・乱視度数よりも少ないレフ値が出ます。
ケースは少ないですが、コンタクトレンズのフィッティングによっては逆の現象も起こることがあります。
レフ値が安定しなかったり、信頼系数値が低かったりすることも珍しくないので、そんなときには改めて時間をおいたり、レフを何度か取りなおしてみると測定の精度を上げることができると思います。
なんてことを私は自分のお客様を担当しながらグルグルと考えていましたが、入社数カ月のSさんはいつもの笑顔で鮮やかに度数決定を行ったのでした。
度数を見る限りでは、Sさんは良い決定をしていました。
うむ。私の教えどおりです。