前回の「ペイントマークの消し方」で、しばらく水に浸けておいて、ペイントマークをふやかしてから(ペイントマークがふやけるのかどうかはさておき)セロハンテープを使って剥がすと、アルコールを使用しなくても比較的剥がしやすいという話になりました。

ただ、私はこの「しばらく水に浸ける」というのがどうにも引っかかっていて、昔からお客様のご持参されるレンズの水やけをよく目にしていた私としては「このように水やけする危険があるものをワザワザ自ら水に浸ける…?」と、心配になってしまうんですね。

そこで、メーカーさんに確認してみました。

「確かに水が付いてしまった状態で放置してしまうと水やけになりますが、それはあくまで放置してしまった場合です。ちゃんと拭き取っていただければ、水やけになることはありません」

とのことでした。
なるほど。どのくらい放置すると水やけになるのかということも気になったので質問してみましたが、どのくらいというのは正確にはわからないということでした。

水やけというのは反射防止コートで起こりやすいそうです。
反射防止コートはもともと親水性が高く(親水性と言うのは表面に付いた水が玉のような水滴にはならずに、薄く広がってしまうことです。撥水の反対ですね。)、水が付いたときに落ちにくいので、乾燥したときに水に含まれていた不純物が水滴の形状に白く残り、コート膜と反応してとれなくなってしまうことを水やけと言うんだそうです。

ただ、近年のレンズは反射防止コートの上に撥水コート(防汚コートと同じと考えていただいて大丈夫です)がされていて、その性能も上がっているので水やけというのは起きにくくなってきてはいます。

【コートの構成】
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  撥水コート(防汚コート)
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    反射防止コート
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    ハードコート
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    レンズ基材

のようになっているんだそうです。
キズ防止のハードコートが一番上じゃないんですね。
そんな位置にいてどうやってキズからレンズを守っているんでしょう?
レンズが無事でもその上にあるコートが傷んでしまったら、
それは見た目で気になってしまうのでは…?
次回に続きます。

ちなみに、アルコールの代わりが期待されている次亜塩素酸水は、まだコートに対しての安全性が確認できていないので、注意しなくてはいけないと思います。最悪の場合、コーティングが傷む可能性があります。